個人住民税について
個人住民税とは、道府県民税と市町村民税を合わせた税の総称です。東京都の特別区内に住所を有する個人の場合、道府県民税に相当する税は都民税として、市町村民税に相当する税は特別区民税として課税されます。
個人住民税には、均等割・所得割・利子割・配当割・株式等譲渡所得割があります。なお、利子割・配当割・株式等譲渡所得割は、道府県民税(都民税を含む)のみに課されます。
均等割について
均等割とは、その年の1月1日時点で、道府県(都を含む)および市町村(特別区を含む)に住所を有し、条例で定める一定基準額以上の所得がある納税義務者に対して、所得額に関係なく定額で課税される部分を指します。
標準税額
| 区分 |
標準税額(年額) |
| 道府県民税(都民税を含む) |
1,000円 |
| 市町村民税(特別区民税を含む) |
3,000円 |
※自治体によっては、標準額とは異なる独自の税額を定めている場合もあります。
なお、2024(令和6)年度からは、国税である「森林環境税」(年額1,000円)が個人住民税の均等割と併せて徴収されています。そのため、現在の均等割の合計額は、基本的に5,000円となっています。
所得割について
所得割とは、その年の1月1日時点で、道府県(都を含む)および市町村(特別区を含む)に住所を有し、一定基準額以上の所得がある納税義務者に対して、その資力に応じて課税される部分を指します。
所得割の計算方法
- 前年分の所得税算定上の所得金額を基準に、所得割に係る所得控除(所得税の控除とは別)を差し引きます。
- 控除後の課税所得金額に、所得割の税率を掛けて算出税額を求めます。
- さらに、所得割に係る税額控除等を適用して最終的な税額を決定します。
標準税率
| 区分 |
標準税率(年額) |
| 道府県民税(都民税を含む) |
4% |
| 市町村民税(特別区民税を含む) |
6% |
※指定都市に住所を有する場合:道府県民税2%、市町村民税8%
※分離課税が適用される所得については、別途特例が定められています。
利子割について
利子割とは、預貯金や公社債の利子などの支払いを受けた場合に、その利子等の額に対して5%の税率で特別徴収される部分を指します。銀行や証券会社などの支払者が支払い時に税額を源泉徴収し、受取人に代わって納税します。
主な課税対象
- 預貯金の利子
- 公社債の利子
- 公社債投資信託の収益分配金
※特定公社債等の利子は、配当割の課税対象です。
配当割について
配当割とは、上場株式等の配当などを受け取り、確定申告不要制度の適用を受けた場合に、その配当額に対して5%の税率で特別徴収される部分を指します。
株式等譲渡所得割について
株式等譲渡所得割とは、特定口座(源泉徴収あり口座)での取引による譲渡所得等について、確定申告不要制度の適用を受けた場合に、特別徴収される部分を指します。
源泉徴収選択口座での取引において、年初からの累計譲渡所得等の金額が、その取引時点で前年までの累計額を上回る場合、その上回った金額に対して税率5%で特別徴収されます。この特別徴収により、課税関係は完結します(確定申告不要)。
個人住民税の申告と納付について
個人住民税は、その年の1月1日時点の住所地の道府県(都を含む)および市町村(特別区を含む)が課税します。
申告方法
納税者は、その年の1月1日時点の住所地の市町村に対し、毎年3月15日までに住民税申告書を提出する必要があります。ただし、所得税の確定申告書を税務署に提出した場合、住民税申告書を提出したものとみなされます。
給与所得者などで、前年の所得が給与または公的年金のみの一定条件に該当する場合、住民税申告書の提出は不要です。
納付方法
個人住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収があります。
普通徴収の場合、住民税申告書または所得税確定申告書を基に税額を計算し、納税通知書で通知します。原則として6月・8月・10月・翌年1月の4回分割で納付します(一括納付も可)。
特別徴収の場合、給与支払報告書を基に税額を計算し、5月31日までに給与支払者と給与所得者へ通知します。給与支払者は、6月から翌年5月まで毎月の給与から税額を徴収し、翌月10日までに市町村へ納付します。
また、65歳以上の公的年金受給者について、市町村が税額決定通知書で通知します。年金支払者は、年金支払い時に税額を徴収し、翌月10日までに市町村へ納付します。
個人住民税の所得控除について
個人住民税には、所得税と同様の所得控除がありますが、控除額は所得税より少ないのが特徴です。
所得控除の比較
| 控除の種類 |
住民税 |
所得税 |
|
| 雑損控除 |
以下の①または②のうち多い方 |
||
| 医療費控除 |
以下の①または② |
||
| 社会保険料控除 |
前年の支払額 |
今年の支払額 |
|
| 小規模企業共済掛金控除 |
|||
| 生命保険料控除 ※ | 一般の生命保険料控除 | 最高28,000円 | 最高40,000円 |
| 介護保険料控除 | 最高28,000円 | 最高40,000円 | |
| 個人年金保険料控除 | 最高28,000円 | 最高40,000円 | |
| 上記3つの合計 | 最高70,000円 | 最高120,000円 | |
| 地震保険料控除 | 最高25,000円 | 最高50,000円 | |
| 障害者控除 | 一般の障害者 | 26万円 | 27万円 |
| 特別障害者 | 30万円 | 40万円 | |
| 同居特別障害者 | 53万円 | 75万円 | |
| 寡婦控除 | 26万円 | 27万円 | |
| ひとり親控除 | 30万円 | 35万円 | |
| 勤労学生控除 | 26万円 | 27万円 | |
| 配偶者控除 | 70歳未満 | 最高33万円 | 最高38万円 |
| 70歳以上 | 最高38万円 | 最高48万円 | |
| 配偶者特別控除 | 最高33万円 | 最高38万円 | |
| 扶養控除 | 一般の扶養親族 | 33万円 | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 45万円 | 63万円 | |
| 老人扶養親族 | 38万円 | 48万円 | |
| 同居老親等 | 45万円 | 58万円 | |
| 基礎控除 | 最高43万円 | 最高58万円 | |
※生命保険料控除は、2012(平成24)年以降に契約した場合です。