決算書
最終更新日: 2025-11-29

決算書について

 
決算書は、企業活動の成果を利害関係者に報告するための書類です。主に次の4つで構成されます。

損益計算書(P/L)

 
損益計算書は、一定期間(通常1年間)の経営成績を示し、「どれだけ利益を得たか、損失を出したか」を表します。
記載される主な利益の種類は以下のとおりです。

  • 売上総利益 = 売上高 − 売上原価
  • 営業利益 = 売上総利益 − 販売費及び一般管理費
  • 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
  • 税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 − 特別損失
  • 当期純利益 = 税引前当期純利益 − 法人税・住民税・事業税等 − 法人税等調整額

貸借対照表(B/S)

 
貸借対照表は、ある時点における企業の財政状態を示します。「どのくらいの資産を保有し、どのくらいの負債を抱えているか」、そして「資産から負債を差し引いた純資産がどれだけあるか」を明らかにします。
構成は以下のとおりです。

  • 左側:資産流動資産固定資産繰延資産
  • 右側:負債流動負債固定負債)・純資産株主資本評価・換算差額等新株予約権

左右の合計金額は必ず一致します。

株主資本等変動計算書

 
株主資本等変動計算書は、1事業年度における純資産の増減を一覧化したものです。株主資本が増減した理由や、その変動がどの項目に振り分けられたかを示します。

キャッシュフロー計算書

 
キャッシュフロー計算書は、資金の流入・流出を示す財務諸表です。
企業活動を以下の3つに分類し、資金の流れを把握します。

  • 営業活動によるキャッシュフロー
    企業の営業活動から生み出されたキャッシュの量を示します。多いほど健全です。
  • 投資活動によるキャッシュフロー
    将来の営業キャッシュフローを生み出すための投資に使ったキャッシュを示します。固定資産や投資有価証券の購入・売却が該当します。単年度のプラス・マイナスで判断せず、複数期間で累計して評価します。
  • 財務活動によるキャッシュフロー
    営業活動や投資活動を維持するための資金調達や返済状況を示します。増資や借入による調達、借入金返済や配当支払いなどが含まれます。

 
営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュフローの組み合わせから、会社の安定度を判断できます。下表はその関係を示しています。
 

会社の状態

営業CF

投資CF

財務CF

超安定

非常に安定

安定

不安定

非常に不安定

超不安定


決算書の分析と主な指標について

 
決算書の分析は、一般的に収益性安全性生産性成長性損益分岐点の5つの観点から行います。

収益性分析の主な指標について

 

総資本経常利益率

 
総資本に対する経常利益の割合を示し、収益性を総合的に判断する指標です。
総資本経常利益率は、以下の式で算出されます。
 

 

自己資本利益率(ROE)

 
株主資本に対する純利益の割合を示し、株主の投資効率を測る指標です。
自己資本利益率(ROE)は、以下の式で算出されます。
 

自己資本利益率の計算式

安全性分析の主な指標について

 

流動比率

 
流動比率は、短期負債(流動負債)に対して、返済に充当できる資産(流動資産)がどの程度あるかを示す指標です。短期的な支払能力を判断するために用いられます。
流動比率は、以下の式で算出されます。
 

流動比率の計算式

 

当座比率

 
当座比率は、短期負債(流動負債)に対して、より換金性の高い当座資産(現預金、売上債権、短期保有有価証券など)がどの程度あるかを示す指標です。流動比率よりも実質的な支払能力を評価できます。一般に、この数値は高い方が望ましいとされます。
当座比率は、以下の式で算出されます。
 

当座比率の計算式

 

固定比率

 
固定比率は、自己資本によって固定資産への投資がどの程度賄えているかを示す指標です。一般に、100%以下であることが望ましいとされます。
固定比率は、以下の式で算出されます。
 

固定比率の計算式

 

自己資本比率

 
自己資本比率は、総資産に占める自己資本の割合を示す指標で、比率が高いほど財務の健全性が高いと判断されます。
自己資本比率は、以下の式で算出されます。
 

自己資本比率の計算式

生産性分析の主な指標について

 

労働生産性

 
労働生産性は、従業員1人あたりの生産性を示す指標で、以下の2種類があります。

  • 物的労働生産性:生産量など、物量で捉える生産性
  • 価値的労働生産性:売上や付加価値など、金額で捉える生産性

物的労働生産性と価値的労働生産性は、以下の式で算出されます。
 

物的労働生産性の計算式

 

価値的労働生産性の計算式

成長性分析の主な指標について

 

売上高増加率・経常利益増加率・総資本増加率

 
これらの指標は、前期と比較して当期にどの程度 売上高、経常利益、総資本が増加したかを示します。企業の成長性を把握するために重要な指標です。
売上高増加率・経常利益増加率・総資本増加率は、以下の式で算出されます。
 

売上高増加率の計算式

 

経常利益増加率の計算式

 

総資本増加率の計算式

損益分岐点分析の主な指標について

 

損益分岐点売上高

 
損益分岐点売上高とは、売上高と費用が等しくなり、損益がゼロとなる売上高のことです。実際の売上高がこの値を上回れば利益が発生し、下回れば損失が発生します。
損益分岐点売上高は、以下の式で算出されます。
 

損益分岐点売上高の計算式

限界利益率の計算式

引用