青色申告・白色申告
最終更新日: 2025-11-23

青色申告について

 
青色申告は、複式簿記に基づいて取引を帳簿に記帳し、その記帳内容に基づいて所得税を正しく申告する制度です。税務署から青色申告者として承認を受けることで、税務上のさまざまな優遇措置を受けられます


青色申告の要件について

 
青色申告を行うための主な要件は以下のとおりです。

  • 事業的規模での不動産所得事業所得、または山林所得があること。
  • 青色申告をしようとする年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署へ提出していること。
  • 青色申告をしようとする年の1月16日以降に事業を開始した場合は、その開始日から2か月以内青色申告承認申請書を税務署へ提出していること。
  • 一定の帳簿書類を備え、取引を適正に記録し、原則7年間保存していること。

青色申告の優遇措置について

 
青色申告を行うことで、以下のような税務上の優遇措置を受けられます。

青色申告特別控除 

 
事業的規模の不動産所得または事業所得がある場合、複式簿記により記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出すると、最高55万円の控除が受けられます。さらに、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行う場合は、控除額が65万円に増額されます。
上記以外の青色申告者は、最高10万円の控除となります。

青色事業専従者給与

 
青色申告者と生計を一にする配偶者や親族(15歳以上)が事業に専従している場合、給与を必要経費として算入できます。原則としてその年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。なお、その年の1月16日以降に新たに専従者を有した場合業務開始日または専従者を有した日から2か月以内に提出する必要があります。
ただし、青色事業専従者は配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除の対象外です。

貸倒引当金

 
事業所得がある場合、売掛金や貸付金などの貸倒れ見込額として、年末の帳簿価額合計の5.5%以下を引当金として必要経費に算入可能です。金融業の場合は3.3%です。

純損失の繰越控除・繰戻還付

 
損益通算後も控除しきれない損失は、翌年以降3年間(特定非常災害の場合は5年間)繰り越して控除可能です。この純損失の繰越控除は、期限内申告、期限後申告、修正申告、更正の請求のいずれの方法でも適用されます。
また、前年も青色申告をしている場合、損失を前年に繰り戻して所得税の還付を受けられます。この純損失の繰戻還付は期限内申告のみ適用されます。

中小企業者等の少額減価償却資産の必要経費算入

 
取得価格10万円以上30万円未満の資産を業務に使用した場合、その年度で全額を必要経費に算入可能です。ただし、資産の貸付を主事業として行う場合を除き、貸付に使用した資産は対象外です。この特例が適用される資産の合計は年間300万円が限度です。
この特例の適用には、青色申告決算書の減価償却費の欄に一定事項を記載して確定申告書に添付して提出し、資産取得価額の明細の保管が必要です。期限内申告、期限後申告いずれも適用されます。


白色申告について

 
白色申告は、青色申告を行わない通常の確定申告のことです。青色申告のような税務上の優遇措置はありませんが、事業専従者控除が認められています。
また、白色申告者にも記帳義務や記録保存義務が課されています。これらの義務の対象となるのは、事業所得不動産所得山林所得事業的規模で有する白色申告者(所得税の申告が不要な場合も含む)です。

事業専従者控除

 
事業専従者とは、事業主と生計を一にする配偶者や親族(15歳以上)で、原則として年間6か月超事業に従事する人を指します。
控除額は、以下の①または②のいずれか少ない方の金額です。
 

年間50万円配偶者の場合は、年間86万円
② ( 事業所得 + 不動産所得 + 山林所得 ) ÷ ( 事業専従者の数 + 1 )


帳簿書類の保存期間について

 
帳簿や書類の保存義務と期間は以下のとおりです。
 

青色申告者の場合

 

帳簿書類

保存期間

帳簿

現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳、仕訳帳、総勘定元帳など

7年

書類

決算関係書類

損益計算書、貸借対照表、棚卸表など

7年

現金預金取引関係書類

領収書、小切手帳、預金通帳、借用証など

7年 ※

その他の書類

請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など

5年

※前々年分の所得が300万円以下の場合は5年です。

 

白色申告者の場合

 

帳簿書類

保存期間

法定帳簿

7年

任意帳簿

5年

その他の書類

5年