老齢厚生年金
最終更新日: 2026-04-29

老齢厚生年金の受給要件について

 
老齢厚生年金を受給するためには、次の2つの要件をいずれも満たしている必要があります。

  • 老齢基礎年金の受給要件(受給資格期間が10年以上)を満たしていること
  • 厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あること

特別支給の老齢厚生年金について

 
1985(昭和60)年の法改正により、厚生年金保険の支給開始年齢は、60歳から65歳へと段階的に引き上げられました。この移行期間中に生じる不都合や混乱を避けるために設けられた制度が、特別支給の老齢厚生年金です。

受給要件

 
特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、次のすべての要件を満たす必要があります。

  • 男性:1961(昭和36)年4月1日以前に生まれていること
  • 女性:1966(昭和41)年4月1日以前に生まれていること
  • 老齢基礎年金の受給要件(受給資格期間が10年以上)を満たしていること
  • 厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あること
  • 60歳以上65歳未満であること

特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢

 
特別支給の老齢厚生年金は、次の2つの部分で構成されています。

  • 報酬比例部分
    加入期間中の報酬に応じて計算される部分
  • 定額部分
    一定額が支給される部分(※条件によっては支給されない場合があります)

 
これらの支給開始年齢は、生年月日に応じて段階的に引き上げられており、最終的には、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金のみが支給される仕組みとなっています。なお、女性の支給開始年齢は、男性より5年遅れで引き上げられています。
 

特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢表

老齢厚生年金の受給開始年齢について

 
老齢厚生年金は、受給資格期間が10年以上ある人が65歳に達した時点で受給権が発生し、年金の受給を開始することができます。なお、本人の希望により、受給開始時期を繰り上げたり、繰り下げたりすることも可能です。


老齢厚生年金の繰上げ支給

 
老齢厚生年金の繰上げ支給とは、年金の支給開始年齢である65歳より前に、60歳から65歳未満の任意の時期に年金を前倒しして受給する制度です。繰上げ支給を選択すると、受給開始を早めた月数に応じて年金額が減額され、減額後の年金額が生涯にわたって支給されます。
減額率は、

  • 1962年4月2日以降生まれの人:1か月につき0.4%
  • 1962年4月1日以前生まれの人:1か月につき0.5%(最大30%)

となります。
なお、老齢厚生年金の繰上げ支給は、老齢基礎年金の繰上げと同時に行う必要があります
 

繰上げによる減額率 = 繰上げ月数 × 減額率(0.4%または0.5%)

 

減額率一覧表

 
1962(昭和37)年4月2日以降生まれの人(1か月あたりの減額率0.4%)

繰上げ月数

60歳

61歳

62歳

63歳

64歳

0か月

24.0%

19.2%

14.4% 9.6% 4.8%

1か月

23.6%

18.8%

14.0% 9.2% 4.4%

2か月

23.2%

18.4%

13.6% 8.8% 4.0%

3か月

22.8%

18.0%

13.2% 8.4% 3.6%

4か月

22.4%

17.6%

12.8% 8.0% 3.2%

5か月

22.0%

17.2% 12.4% 7.6% 2.8%

6か月

21.6%

16.8% 12.0% 7.2% 2.4%

7か月

21.2%

16.4% 11.6% 6.8% 2.0%

8か月

20.8% 16.0% 11.2% 6.4% 1.6%

9か月

20.4% 15.6% 10.8% 6.0% 1.2%

10か月

20.0% 15.2% 10.4% 5.6% 0.8%

11か月

19.6% 14.8% 10.0% 5.2% 0.4%

 
1962(昭和37)年4月1日以前生まれの人(1か月あたりの減額率0.5%)

繰上げ月数

60歳

61歳

62歳

63歳

64歳

0か月

30.0%

24.0%

18.0% 12.0% 6.0%

1か月

29.5%

23.5%

17.5% 11.5% 5.5%

2か月

29.0%

23.0%

17.0% 11.0% 5.0%

3か月

28.5%

22.5%

16.5% 10.5% 4.5%

4か月

28.0%

22.0%

16.0% 10.0% 4.0%

5か月

27.5%

21.5% 15.5% 9.5% 3.5%

6か月

27.0%

21.0% 15.0% 9.0% 3.0%

7か月

26.5%

20.5% 14.5% 8.5% 2.5%

8か月

26.0% 20.0% 14.0% 8.0% 2.0%

9か月

25.5% 19.5% 13.5% 7.5% 1.5%

10か月

25.0% 19.0% 13.0% 7.0% 1.0%

11か月

24.5% 18.5% 12.5% 6.5% 0.5%

 

繰上げ支給を請求する際の注意点

 
繰上げ支給を請求する際は、次の点に注意が必要です。

  • 寡婦年金の受給権がある場合、繰上げ請求が受理されると、寡婦年金の受給権は消滅します
  • 繰上げ請求後は、任意加入被保険者になることができません
  • 繰上げ請求後は、障害基礎年金の受給権を取得することができません
  • 一度繰上げ請求が受理されると、取消しや変更はできません

老齢厚生年金の繰下げ支給について

 
老齢厚生年金の繰下げ支給とは、年金の支給開始年齢である65歳から、66歳から75歳までの間の任意の時期に受給開始を遅らせる制度です。繰下げ支給を選択すると、受給開始を遅らせた月数に応じて年金額が増額され、増額後の年金額が生涯にわたって支給されます。
なお、65歳以上66歳未満の期間は待機期間となるため、年金を繰下げた場合であっても、この期間中は受給を開始することはできませんので注意が必要です。
増額率は1か月につき0.7%で、最大84.0%(75歳0か月で請求した場合)となります。
また、増額の対象となる年金額は、在職老齢年金による支給調整後の金額となります。
老齢厚生年金の繰下げは、老齢基礎年金の繰下げとは別々に行うことが可能です。なお、特別支給の老齢厚生年金は繰下げの対象外ですが、特別支給の老齢厚生年金を受給しながら、本来の老齢厚生年金を繰下げて受給することは可能です。
 

繰下げによる増額率 = 繰下げ月数 × 0.7%

 

増額率一覧表

 

繰下げ月数

66歳

67歳

68歳

69歳

70歳

71歳

72歳

73歳

74歳

75歳

0か月

8.4%

16.8%

25.2% 33.6% 42.0% 50.4% 58.8% 67.2% 75.6% 84.0%

1か月

9.1%

17.5%

25.9% 34.3% 42.7% 51.1% 59.5% 67.9% 76.3%  

2か月

9.8%

18.2%

26.6% 35.0% 43.4% 51.8% 60.2% 68.6% 77.0%  

3か月

10.5%

18.9%

27.3% 35.7% 44.1% 52.5% 60.9% 69.3% 77.7%  

4か月

11.2%

19.6%

28.0% 36.4% 44.8% 53.2% 61.6% 70.0% 78.4%  

5か月

11.9%

20.3% 28.7% 37.1% 45.5% 53.9% 62.3% 70.7% 79.1%  

6か月

12.6%

21.0% 29.4% 37.8% 46.2% 54.6% 63.0% 71.4% 79.8%  

7か月

13.3%

21.7% 30.1% 38.5% 46.9% 55.3% 63.7% 72.1% 80.5%  

8か月

14.0% 22.4% 30.8% 39.2% 47.6% 56.0% 64.4% 72.8% 81.2%  

9か月

14.7% 23.1% 31.5% 39.9% 48.3% 56.7% 65.1% 73.5% 81.9%  

10か月

15.4% 23.8% 32.2% 40.6% 49.0% 57.4% 65.8% 74.2% 82.6%  

11か月

16.1% 24.5% 32.9% 41.3% 49.7% 58.1% 66.5% 74.9% 83.3%  

1952(昭和27)年4月1日以前生まれの人、または2017(平成29)年3月31日以前に老齢基礎年金または老齢厚生年金の受給権が発生している人は、繰下げの上限年齢が70歳までとなるため、増額率の上限は42.0%です。


老齢厚生年金の年金額について

 
老齢厚生年金の年金額は、特別支給の老齢厚生年金(60〜64歳)65歳以降に支給される本来の老齢厚生年金とで、計算方法が異なります。
 

特別支給の老齢厚生年金(60〜64歳)

 
特別支給の老齢厚生年金の年金額は、次の計算式により算出されます。
 

年金額 = 定額部分 + 報酬比例部分 + 加給年金額

 
2026(令和8)年度における定額部分は、次の計算式により算出されます。
 

1956(昭和31)年4月2日以降生まれの人:1,766円 × 生年月日に応じた率 × 被保険者期間の月数
1956(昭和31)年4月1日以前生まれの人:1,761円 × 生年月日に応じた率 × 被保険者期間の月数

 
報酬比例部分は、次の計算式により算出されます。
 

老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式

※平均標準報酬月額とは、2003(平成15)年3月以前の被保険者期間中の標準報酬月額の総額を、同期間の月数で除した額です。
※平均標準報酬額とは、2003(平成15)年4月以降の被保険者期間中の標準報酬月額および標準賞与額の総額を、同期間の月数で除した額です。
※乗率A・Bは、生年月日により異なります。 

 

65歳以上の老齢厚生年金

 
65歳以降に支給される老齢厚生年金の年金額は、次の計算式により算出されます。
 

年金額 = 報酬比例部分 + 経過的加算額 + 加給年金額

 
報酬比例部分は、次の計算式により算出されます。
 

老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式

※平均標準報酬月額とは、2003(平成15)年3月以前の被保険者期間中の標準報酬月額の総額を、同期間の月数で除した額です。
※平均標準報酬額とは、2003(平成15)年4月以降の被保険者期間中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、同期間の月数で除した額です。
※乗率A・Bは、生年月日に応じて異なります。

 
経過的加算額とは、特別支給の老齢厚生年金の定額部分と老齢基礎年金との額の差を調整するための加算であり、その差が生じる場合に支給されます。
 

老齢厚生年金の経過的加算額の計算式

 
2026(令和8)年度における老齢基礎年金の満額は、次のとおりです。

  • 1956(昭和31)年4月2日以降生まれの人:年額847,300円(月額70,608円)
  • 1956(昭和31)年4月1日以前生まれの人:年額844,900円(月額70,408円)

加給年金について

 
加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳(または特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢)に達した時点で、生計を維持している一定の配偶者または子がいる場合に、老齢厚生年金に加算される年金です。
 

2026(令和8)年度における加給年金額

 

対象者

加給年金額

年齢制限

配偶者

243,800円

65歳未満であること

第1子・第2子

各243,800円

18歳到達年度の3月31日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子

第3子以降

各81,300円

2026(令和8)年度における配偶者加給年金額の特別加算額

 
受給者が1934(昭和9)年4月2日以降生まれで、加給年金の対象となる配偶者がいる場合には、受給者の生年月日に応じて特別加算額が加算されます。
 

受給者の生年月日

特別加算額

加給年金額の合計額

1934(昭和9)年4月2日〜1940(昭和15)年4月1日

36,000円

279,800円

1940(昭和15)年4月2日〜1941(昭和16)年4月1日

71,900円

315,700円

1941(昭和16)年4月2日〜1942(昭和17)年4月1日

108,000円

351,800円

1942(昭和17)年4月2日〜1943(昭和18)年4月1日

143,900円

387,700円

1943(昭和18)年4月2日以降

179,900円

423,700円

加給年金の停止と経過措置

 
2022(令和4)年4月の年金制度改正により、次のいずれかに該当する場合は、配偶者加給年金額が支給停止となります。

  • 配偶者が老齢厚生年金の受給権を有している場合(以下のいずれかを満たす場合に限る)
    • 被保険者期間が20年以上
    • 共済組合等の加入期間を除いた期間のうち、40歳(女性は35歳)以降に15年以上19年未満の加入期間がある
  • 配偶者が退職共済年金の受給権を有している場合(組合員期間が20年以上
  • 配偶者が障害年金を受給している期間中

これらに該当する場合、実際に年金を受け取っていない場合(例:在職による支給停止中など)であっても、受給権があるだけで加給年金は停止されます。
 
ただし、次の1および2の両方の要件を満たす場合には、2022(令和4)年4月以降も加給年金の支給が継続される経過措置が設けられています。

  1. 2022(令和4)年3月時点で、本人の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金が支給されていること
  2. 2022(令和4)年3月時点で、加給年金の対象となる配偶者が次の条件を満たしていること
    • 厚生年金保険の被保険者期間が240月(20年)以上
    • 老齢厚生年金等の受給権を有しており、全額が支給停止されていること

 
経過措置は、次のいずれかに該当した場合に終了します。なお、3または4に該当する場合は、経過措置終了の届出が必要です。

  1. 加給年金が不該当となったとき(例:配偶者が65歳に到達したとき、離婚したとき、死亡したときなど)
  2. 本人の老齢厚生年金または障害厚生年金が全額支給停止となったとき
  3. 配偶者が失業給付の受給終了により、老齢厚生年金の全額支給停止が解除されたとき(2022(令和4)年3月分の老齢厚生年金が全額支給停止されていた場合に限る)
  4. 配偶者が年金の選択により、他の年金の支給を受けることになったとき

振替加算について

 
厚生年金保険では、老齢厚生年金などの受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、その年金に加給年金(扶養手当のようなもの)が加算されます。
この加給年金の対象となっている配偶者が65歳に達し、老齢基礎年金の受給資格を取得すると、加給年金は打ち切られ、その代わりに配偶者の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
振替加算の対象となるのは、1926(大正15)年4月2日から1966(昭和41)年4月1日までに生まれた人に限られます。
振替加算の金額は生年月日によって異なり、老齢基礎年金の年金額に上乗せして支給されます。


在職老齢年金について

 
在職老齢年金とは、老齢厚生年金の受給開始年齢(原則65歳)以降も、厚生年金保険の被保険者として在職している人に支給される老齢厚生年金のことです。ただし、在職中の給与や賞与などが一定額を超える場合には、年金の一部または全部が支給停止となることがあります。
在職老齢年金は、総報酬月額相当額と基本月額の合計が65万円を超える場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。
なお、支給停止の対象となるのは老齢厚生年金のみであり、老齢基礎年金は全額支給されます。
2026(令和8)年度における在職老齢年金の支給停止額は、次の計算式により算出されます。
 

支給停止額(月額)= ( 総報酬月額相当額 + 基本月額 − 65万円 ) × 1/2
※総報酬月額相当額 = その月の標準報酬月額 + その月以前1年間の標準賞与額の合計 ÷ 12
※65歳未満の基本月額:加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金(退職共済年金を含む)の月額
※65歳以上の基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金(退職共済年金を含む)の報酬比例部分の月額


離婚時の年金分割制度について

 
離婚時の年金分割制度とは、夫婦のいずれか、または双方が婚姻期間中に厚生年金保険に加入していた場合に、離婚に際して、婚姻期間中の厚生年金保険の保険料納付記録を当事者間で分割できる制度です。
この制度には、次の2つの形式があります。
 

合意分割

 
合意分割とは、離婚後2年以内に、当事者間の合意または裁判所の決定に基づき、婚姻期間中の厚生年金保険の保険料納付記録を、婚姻期間にさかのぼって分割する制度です。
分割割合は、当事者の合意または裁判手続きによって決定されますが、分割の上限は、婚姻期間中の標準報酬総額の50%までとされています。
 

3号分割

 
3号分割とは、2008(平成20)年4月1日に施行された制度で、当事者の合意を必要としない分割方法です。
第3号被保険者(主に専業主婦・主夫など)であった人が請求することにより、施行日以降の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金保険の保険料納付記録を分割することができます。
分割割合は一律50%で、離婚後2年以内に請求する必要があります。