遺族厚生年金
最終更新日: 2026-05-05

遺族厚生年金について

 
遺族厚生年金とは、厚生年金保険の被保険者(またはかつて被保険者であった人)が死亡した場合に、その人によって生計を維持されていた遺族の生活を支援するために支給される年金です。
なお、遺族基礎年金の受給資格も満たしている場合には、遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方を併給することができます。


遺族厚生年金の受給要件について

 
遺族厚生年金を受給するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。受給要件は、「短期要件」と「長期要件」に区分されています。
 

短期要件

 
次のいずれかに該当すること。

  • 厚生年金保険の被保険者が死亡した場合
  • 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある傷病により、初診日から5年以内に死亡した場合
  • 死亡日の前日時点において、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が、厚生年金保険の加入期間の3分の2以上あること
  • 死亡日が2026(令和8)年3月31日までで、かつ死亡者が65歳未満の場合には、死亡日を含む月の前々月までの1年間に保険料の滞納がないこと
  • 障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合

 

長期要件

 
次に該当すること。

  • 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合

遺族厚生年金の受給対象者について

 
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者(またはかつて被保険者であった人)が死亡した場合に、その人によって生計を維持されていた遺族に支給されます。
 

遺族の優先順位

 
支給対象となる遺族は、次の順に優先されます。

  1. 配偶者(内縁関係も含む)
  2. 父母
  3. 祖父母

 
なお、次の遺族が受給対象となる場合には、死亡時点で55歳以上であることが要件とされ、実際の支給は60歳から開始されます。

  • 父母
  • 祖父母

ただし、夫が遺族基礎年金を受給している場合に限り、遺族厚生年金との併給が可能です。
 
また、夫の死亡時に30歳未満で子のいない妻については、遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過した時点で、受給権が消滅します。
 
受給対象となる子または孫は、次のいずれかに該当する人です。

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)までの子または孫
  • 20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある子または孫

なお、死亡時点で胎児であった場合でも、出生後は受給対象に含まれます。


遺族厚生年金の年金額について

 
遺族厚生年金の支給額は、次の計算式により算出されます。
 

遺族厚生年金の年金額 = 老齢厚生年金の報酬比例部分 × 3/4

 
遺族厚生年金の基礎となる「老齢厚生年金の報酬比例部分」は、次の計算式により算出されます。
 

老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の計算式

 
※被保険者期間が 300月(25年)未満の場合は、 300月とみなして計算されます。

中高齢寡婦加算について

 
中高齢寡婦加算とは、一定の要件を満たす妻が受給する遺族厚生年金に対して、40歳から65歳までの間に加算される年金です。
 

対象となる妻

 
次のいずれかに該当する場合に、中高齢寡婦加算が適用されます。

  • 夫の死亡時に40歳以上65歳未満であり、かつ生計を同じくする子がいない
  • 子のある妻が、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給していたものの、次のいずれかに該当したことにより、遺族基礎年金の受給資格を失った場合(ただし、40歳到達時点で遺族基礎年金を受給していた場合に限る)
    • 子が18歳到達年度の末日(3月31日)を迎えたとき
    • 障害等級1級または2級の障害状態にある子が20歳に達したとき

 

長期要件に該当する場合の条件

 
長期要件による遺族厚生年金が支給される場合には、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が、原則として20年以上あることが必要です。
 

子の定義

 
中高齢寡婦加算の判定における「子」とは、次のいずれかに該当する人を指します。

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)までの子
  • 20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある子

※死亡時点で胎児であった場合でも、出生後は対象に含まれます。
 

加算額

 
2026(令和8)年度の中高齢寡婦加算の額は、年額635,500円です。


経過的寡婦加算について

 
経過的寡婦加算とは、寡婦が65歳に達して自身の老齢基礎年金の受給を開始すると、中高齢寡婦加算が終了することにより年金額が減少するため、その減額分を補う目的で支給される加算制度です。
次のいずれかに該当する場合、遺族厚生年金に経過的寡婦加算が加算されます。

  • 1956(昭和31)年4月1日以前生まれの妻が、65歳以上で遺族厚生年金の受給権を得た場合
  • 中高齢寡婦加算が加算されていた1956(昭和31)年4月1日以前生まれの妻が、65歳に達した場合

年金の併給調整について

 
現在の年金制度では、「1人1年金」が原則とされています。同一人物が複数の年金の受給権を有する場合には、原則として、そのうちいずれか1つの年金を選択して受給する必要があります。
ただし、次のような例外があります。

  • 国民年金(基礎年金)は、すべての国民に共通する制度であり、厚生年金保険などの被用者年金は、基礎年金に上乗せして支給される仕組みとなっているため、老齢基礎年金と老齢厚生年金は併給が可能です。
  • 遺族年金や障害年金など、複数の年金の受給権がある場合には、一定の要件のもとで特例的に併給が認められることがあります。

このように、複数の年金を受給する際に行われる年金額の調整を「併給調整」といいます。
 

年金の併給可否一覧

 

 

老齢厚生年金

障害厚生年金

遺族厚生年金

老齢基礎年金

×

◯(65歳以上)

障害基礎年金

◯(65歳以上)

◯(65歳以上)

遺族基礎年金

×

×

 

 
年金の併給調整は、以下のように覚えましょう!
 

FP検定暗記ポイント_年金の併給調整

遺族厚生年金と老齢厚生年金との併給調整 

 
65歳以降に、遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方の受給権がある場合には、遺族厚生年金の額について、次の計算式により併給調整が行われます。
 

併給調整後の遺族厚生年金額 = ①または②のいずれか多い額 − 本人の老齢厚生年金額
①遺族厚生年金額
②遺族厚生年金額 × 2/3 + 本人の老齢厚生年金額 × 1/2

雇用保険の基本手当と特別支給の老齢厚生年金の併給調整

 
雇用保険の基本手当と特別支給の老齢厚生年金は、原則として併給することができません。基本手当を受給している期間中は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止となります。
ただし、老齢基礎年金については、基本手当の受給中であっても全額支給されます。

雇用保険の高年齢雇用継続給付と在職老齢年金の併給調整

 
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者で、60歳到達時の賃金と比べて賃金が75%未満となった人に対し、最大で賃金の15%相当額が支給される制度です。
この給付を受給している期間中は、在職老齢年金の一部が支給停止されます。具体的には、在職老齢年金の算定に用いられる標準報酬月額の最大6%相当額が支給停止の対象となります。