確定拠出年金
最終更新日: 2026-05-09

確定拠出年金について

 
確定拠出年金とは、加入者が拠出した掛金を自ら運用し、その運用成果に応じて将来受け取る年金給付額が決まる制度です。掛金は個人ごとに明確に管理されており、運用結果によって年金受取額が変動します。
この制度には、事業主が掛金を拠出する「企業型」と、加入者自身が掛金を拠出する「個人型」の2種類があります。個人型確定拠出年金は、一般に「iDeCoイデコ)」という名称で広く知られています。


確定拠出年金の加入対象者について

 
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類があり、それぞれ加入できる対象者が異なります。
 

確定拠出年金

加入対象者

備 考

企業型

制度を実施している企業に勤務する従業員

個人型

国民年金の第1号被保険者(自営業者、フリーランスなど)

農業者年金の被保険者および国民年金の保険料免除者は除きます。

国民年金の第2号被保険者(会社員、公務員など) ・公務員や私立学校教職員共済制度の加入者を含みます。
・企業年金加入者の場合は、以下のすべての条件を満たす必要があります。
① iDeCoの掛金額が、企業型DCの事業主掛金額および他制度(確定給付企業年金、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済制度)の掛金相当額と合算して、月ごとの拠出限度額を超えていないこと
② 企業型・個人型の掛金が月単位で拠出されていること
③ 企業型DCにおいて、加入者掛金を拠出していないこと

国民年金の第3号被保険者(会社員の配偶者など)

国民年金の任意加入被保険者

・60歳以上65歳未満で、国民年金の納付済期間が480月に達していない人
・20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の納付済期間が480月に達していない人


確定拠出年金の掛金について

 

企業型確定拠出年金の掛金

 
企業型確定拠出年金では、原則として事業主が掛金を拠出します。ただし、企業型年金規約に定めることで、加入者が事業主掛金に上乗せして掛金を拠出すること(加入者掛金)も可能です。
加入者掛金を拠出する場合は、次の2つの条件を満たす必要があります。

  • 事業主掛金と加入者掛金の合計が、拠出限度額の範囲内であること
  • 加入者掛金の額が、事業主掛金の額を超えないこと

 

個人型確定拠出年金の掛金

 
個人型確定拠出年金では、加入者自身が掛金を拠出します。掛金は、月額5,000円以上で、1,000円単位で設定することができます。
 

確定拠出年金の拠出限度額一覧

 

区分

条件

月額

年額

企業型

企業型DCのみ加入

55,000円

660,000円

確定給付企業年金や個人型DCと併用

55,000円 − 他制度掛金相当額

660,000円

個人型

国民年金の第1号被保険者・任意加入被保険者

68,000円

816,000円

厚生年金保険の被保険者(企業型DCや他制度に未加入)

23,000円

276,000円

厚生年金保険の被保険者(企業型DCと他制度に加入)

20,000円

240,000円

厚生年金保険の被保険者(企業型DCのみ加入)

厚生年金保険の被保険者(他制度のみ加入、公務員を含む)

国民年金の第3号被保険者

23,000円

276,000円

※他制度には、確定給付企業年金、厚生年金基金、私立学校教職員共済制度、石炭鉱業年金基金が含まれます。


iDeCo+(イデコプラス)について

 
iDeCo+(イデコプラス)は、正式名称を「中小事業主掛金納付制度」といいます。企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金を導入していない中小企業の事業主が、従業員の老後の所得確保を支援するために、従業員が拠出するiDeCoの掛金に上乗せして、事業主が掛金を拠出できる制度です。
対象となる従業員は、厚生年金に加入しており、かつiDeCoに加入している人です。
 

事業主の要件

 
事業主がiDeCo+を導入するには、次のすべての条件を満たす必要があります。

  • 企業型DC、確定給付企業年金、厚生年金基金のいずれも実施していないこと
  • 従業員数が300人以下の中小企業であること(複数事業所を持つ場合は全事業所の合計人数)
  • 事業主払込用の登録事業所番号を事前に取得していること

 

対象となる従業員

 

  • iDeCoに加入している従業員のうち、事業主掛金の上乗せに同意した人

 

掛金について

 

  • 加入者掛金と事業主掛金の合計額は、月額5,000円以上23,000円以下
  • 加入者・事業主ともに、1,000円単位で設定可能
  • 事業主掛金の額は、原則として対象従業員全員が同額となるように設定
  • iDeCo未加入の従業員に対して、加入を強制することはできない。また、事業主掛金のみの拠出も不可
  • 加入者掛金を0円にはできず、かならず拠出が必要
  • 事業主掛金が加入者掛金を上回ることは可能
  • 加入者掛金・事業主掛金ともに、事業主が取りまとめて納付

確定拠出年金の運用について

 
確定拠出年金の運用商品は、加入手続きを行った運用管理機関(金融機関など)が選定・提示します。運用管理機関ごとに特色のある商品ラインアップが用意されており、加入者または運用指図者が自己の判断で運用商品を選択します。
 

運用商品の種類

 
運用商品は、大きく分けて次の2種類があります。

  • 元本確保型商品(定期預金、保険商品など)
    元本が保証されており、比較的リスクが低い商品です。
  • 元本変動型商品(投資信託など)
    市場の変動により元本割れの可能性がありますが、より高いリターンが期待できる商品です。

 

運用商品の選定ルール

 
運用管理機関は、次のルールに基づいて運用商品を提示します。

  • 商品数は、3種類以上35種類以下(簡易企業型年金の場合は2種類以上)
  • 加入者は、複数の商品を組み合わせて選択することが可能
  • 運用の途中で、商品を変更することも可能

確定拠出年金の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)について

 
確定拠出年金やその他の私的年金制度では、離職・転職や制度変更があった場合に、これまで積み立てた年金資産を他の制度へ移管できる場合があります。この仕組みを「ポータビリティ持ち運び)」といいます。
ポータビリティの対象となる主な制度は、次のとおりです。

  • 確定給付企業年金
  • 企業型確定拠出年金
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • 通算企業年金
  • 中小企業退職金共済

 

私的年金制度におけるポータビリティの対応状況

 
以下の表は、離職・転職前に加入していた制度から、転職先で導入されている制度への年金資産移管の可否を示したものです。
 

 
離転職先で導入している制度・資産移管先の制度
確定給付企業年金
企業型確定拠出年金
個人型確定拠出年金
通算企業年金
中小企業退職金共済

離転職前に加入していた制度等

確定給付企業年金
◯ (※2)
△ (※1 ※3)
△ (※1 ※2)
△ (※1)
企業型確定拠出年金
◯ (※2)
△ (※3)
個人型確定拠出年金
◯ (※2)
×
×
通算企業年金
◯ (※2)
×
中小企業退職金共済
△ (※2 ※3)
△ (※3)
×
×

◯:加入者の申出により移管可能
△:事業主の手続きにより移管可能
ー:対象外
×:移管不可
※1:離転職前等の制度の規約による
※2:離転職先等の制度の規約による
※3:制度の合併等の場合に限る

 
このように、ポータビリティの可否は、制度間の規約、事業主の対応、制度の合併状況などによって異なります。転職や退職の際には、年金資産の移管が可能かどうか、また必要な手続きについて、事前に確認しておくことが重要です。


確定拠出年金の給付について

 
確定拠出年金には、老齢給付金障害給付金死亡一時金脱退一時金の4種類の給付があります。 
 

老齢給付金

 
老齢給付金は、通算加入者等期間が10年以上ある場合、60歳から受給可能です。ただし、60歳時点で通算加入者等期間が10年未満の場合は、以下のとおり支給開始年齢が繰り下げられます
 

通算加入者等期間

支給開始年齢

10年以上

60歳

8年以上10年未満

61歳 

6年以上8年未満

62歳

4年以上6年未満

63歳

2年以上4年未満

64歳

1月以上2年未満

65歳

 
給付方法は、5年以上20年以下の有期年金または終身年金から選択できます。また、規約により一時金として受給することも可能です。
 

障害給付金

 
障害給付金は、75歳到達前に一定の障害状態となり、その状態が1年6か月以上継続している場合に受給できます。給付方法は老齢給付金と同様に、有期年金、終身年金、一時金の中から選択できます。
 

死亡一時金

 
加入者等が死亡した場合、遺族が年金資産の残高を一時金として受給することができます。
 

脱退一時金

 
次のいずれかのケースに該当する場合、60歳未満でも年金資産を一時金として受給することができます。
 
ケース①:資産額15,000円以下での請求(企業型DC)

  • 企業型DCの資格喪失後、6か月以内に請求すること
  • 加入者または運用指図者でないこと
  • 資産額が15,000円以下であること

 
ケース②:資産額15,000円超での請求(企業型DC)

  • 企業型DCの資格喪失後、6か月以内に請求すること
  • 加入者または運用指図者でないこと
  • 60歳未満であること
  • iDeCoに加入できないこと
  • 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
  • 障害給付金の受給権者でないこと
  • 次のいずれかに該当すること
    • 掛金拠出期間が5年以下である
    • 資産額が25万円以下である

 
ケース③:個人型DCからの請求

  • 60歳未満であること
  • 企業型DCの加入者でないこと
  • iDeCoに加入できないこと
  • 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
  • 障害給付金の受給権者でないこと
  • 次のいずれかに該当すること
    • 掛金拠出期間が5年以下である
    • 資産額が25万円以下である
  • 最後の資格喪失日から2年以内に請求すること

確定拠出年金の税法上の取扱いについて

 
確定拠出年金における税法上の取扱いは、拠出時運用時給付時の3つの段階で異なります。
企業型・個人型それぞれの取扱いは、次のとおりです。
 

 

企業型確定拠出年金

個人型確定拠出年金

拠出時

事業主掛金:全額損金算入(非課税)
加入者掛金:全額所得控除小規模企業共済等掛金控除

加入者掛金:全額所得控除小規模企業共済等掛金控除
iDeCo+利用時の事業主掛金全額損金算入(非課税)

運用時

運用益非課税
・積立金には特別法人税課税(現在は課税は停止中)

給付時

年金として受給する場合雑所得として課税(公的年金等控除の対象)
一時金として受給する場合退職所得として課税(退職所得控除の対象)

 

老齢給付金以外の給付に係る税務上の取扱い

 
老齢給付金以外の給付については、税法上の取扱いは次のとおりです。

  • 障害給付金:非課税
  • 死亡一時金:相続税の課税対象(みなし相続財産)
  • 脱退一時金:原則として一時所得として課税対象

 
このように、確定拠出年金には税法上の優遇措置が多く設けられています。特に、拠出時の所得控除や運用益の非課税は、長期的な資産形成において大きなメリットとなる制度です。