親族
最終更新日: 2025-12-14

親族の種類と範囲について

 
民法上における親族とは、6親等以内の血族、3親等以内の姻族、配偶者を指します。

親等

 
親等とは、親族間の遠近を示す単位で、近い関係から順に1親等、2親等と数えます。
直系親族は、世代数で数えます。傍系親族は、共同の祖先までさかのぼり、その祖先から当人までの世代数で数えます。
たとえば、従兄弟姉妹の場合、共同の祖先(祖父母、2親等)までさかのぼり、伯叔父母(3親等)、従兄弟姉妹となるので4親等となります。

血族

 
血族(自然血族)とは、出生によって血縁関係を持つ者を指します。
さらに、養子縁組によって、養子と養親および養親の血族との間にも親族関係が生じます。この関係を法定血族といい、自然血族と同様に扱われます。なお、養子縁組による親族関係は、養子の離縁または縁組の取消しによって終了します。

姻族

 
姻族とは、婚姻によって生じる親族関係を指します。
この関係は、離婚により終了します。
また、夫婦の一方が死亡または失踪宣告を受けた場合、生存している配偶者が市町村長に姻族関係終了届を提出すると、姻族関係は終了します。

配偶者

 
配偶者とは、婚姻によって夫婦となった者の一方から見た他方を指します。
この関係は婚姻により生じ、死亡、婚姻の取消し、または離婚によって終了します。

親族に関する定義

 

血族

血縁のある親族(自然血族)
養子縁組によって生じる養子と養親、その血族との間の関係(法定血族)

姻族

婚姻によって生じる親族

尊属

父母、祖父母、伯叔父母など、自分より前の世代にある者

卑属

子、孫、甥姪など、自分より後の世代にある者

直系

血統が一直線につながる系統

傍系

兄弟姉妹、伯叔父母、甥姪など、共同の始祖を通じてつながる系統

 

親族に関する定義

夫婦関係について

婚姻中の契約

 
夫婦間の契約は、婚姻中であればいつでも取り消すことができます。
ただし、夫婦関係が円満を欠き、破綻に瀕している場合には、取り消しはできません。
また、円満な時期に契約を締結していても、その後不和となり婚姻が実質的に破綻した場合には、取り消すことはできません。

離婚

 
離婚には、協議離婚調停離婚審判離婚裁判離婚の4種類あります。協議離婚は裁判の関与はありませんが、調停離婚、審判離婚、裁判離婚は裁判所が関与します。なお、離婚全体の約9割は協議離婚です。
協議離婚の離婚原因は、夫婦間に合意があれば特に限定されません。ただし、未成年の子がいる場合、親権者を決定しなければ離婚届は受理されません
離婚時、当事者の一方は他方に財産分与を請求できます。ただし、相手方が婚姻中に相続で取得した財産は請求の対象外です。また、財産分与請求権は離婚から2年経過すると消滅します。


実子について

 
子は、自然血族関係に基づく実子と、法定血族関係に基づく養子に分類されます。
さらに、実子は嫡出子非嫡出子に分けられます。

嫡出子

 
嫡出子とは、婚姻関係にある男女間に懐胎・出生した子を指します。
嫡出子には、出生時から嫡出性を取得する生来嫡出子と、一定の事由により嫡出性が認められる準正嫡出子があります。

非嫡出子

 
非嫡出子とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子を指します。
この場合、認知によって初めて法律上の親子関係が認めれます。


養子について

 
養子とは、縁組によって社会通念上の親子関係が成立した、法定血族関係上の子を指します。
養子には、普通養子特別養子があります。

普通養子縁組

 
普通養子縁組とは、養子が実親およびその血族との親族関係を維持したまま、養親との親子関係を成立させる養子縁組です。戸籍上は「養子」と記載されます。
手続きは、当事者の合意と届出によって完了します。未成年者を養子とする場合は、家庭裁判所の許可が必要です。ただし、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合は、家庭裁判所の許可は不要です。
普通養子縁組による養子は、実親と養親の両方の相続人となります

特別養子縁組

 
特別養子縁組とは、養子が実親およびその血族との親族関係を断ち切り、養親との親子関係を成立させる養子縁組です。戸籍上は「実子」として扱われ、「長男」、「長女」などと記載されます。
手続きは、家庭裁判所の審判によって行います。養子となる者は、原則として15歳未満であることが条件です。例外として、15歳に達する前から養親に監護されており、やむを得ない事由で請求できなかった場合は、本人の同意があれば15歳以上でも可能です。ただし、成立時に18歳以上の場合は、養子になれません
特別養子縁組による養子は、養親のみの相続人となります。

普通養子と特別養子の違い

 

 項目

普通養子

特別養子

成立方法

①当事者の合意
②市役所への届出
※未成年の場合は、家庭裁判所の許可が必要

①養親となる者の請求
②家庭裁判所の審判

実父母の意思

養子が15歳未満の場合、法定代理人の承諾と監護権者の同意が必要
養子が15歳以上の場合、本人の自由意志で縁組可能

原則として実父母の同意が必要

養親の要件

20歳以上、独身者も可

原則25歳以上の夫婦(片方が25歳以上、もう一方が20歳以上なら可)

養子の要件

養親の尊属・年長者は不可

原則として縁組請求時に15歳未満

実親との関係

実父母および血族との親族関係は存続
※親権は養親に移る

実父母および血族との親族関係は原則終了

戸籍上の記載

「養子」と明記

「実子」扱い(長男、長女など)

試験養育期間

なし

6か月以上

離縁

当事者の合意で可能

以下の①と②の条件を満たし、養子の利益のため特に必要と認める場合、家庭裁判所が、養子、実父母または検察官の請求により離縁を認める
①養親による虐待・悪意の遺棄など養子の利益を著しく害する事由があること
②実父母が相当の監護をできること

扶養義務者について

 
民法では、直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養する義務があります。さらに、特別の事情がある場合、家庭裁判所は3親等以内の親族に扶養義務を課すことができます。