株式について
株式とは、企業が事業に必要な資金を調達するために発行する有価証券のことです。
投資家は株式を購入することで、その企業の株主となります。
株主について
株主とは、企業に出資し、その企業の株式を保有している人や法人のことです。株主には、さまざまな権利が認められています。
たとえば、企業が利益を上げた場合には、保有する株式数に応じて利益の分配を受ける権利(剰余金配当請求権)があります。また、株主は企業の出資者であるため、株主総会での議決を通じて経営に参加する権利(議決権)を有しています。さらに、企業が解散した際には、債務の弁済後に残った財産の分配を受ける権利(残余財産分配請求権)があります。
一方で、株主が負う責任は、原則として出資した金額の範囲に限られます(有限責任)。そのため、企業が倒産した場合でも、株主が出資額を超えて責任を負うことはありません。ただし、株式の購入にあたって払い込んだ資金は、原則として返還されません。
また、企業によっては、保有株式数に応じて自社の商品やサービス、優待券などを株主に提供することがあります。これを株主優待といいます。
株式を売買する場所について
株式は通常、金融商品取引業の登録を受けた証券会社を通じて、証券取引所で売買されます。
株式を売買するためには、まず証券会社に取引口座を開設する必要があります。口座開設にあたっては、所定の申込書類に加えて、マイナンバーおよび本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)の提出が求められます。
証券会社は投資家と取引市場との仲介役を担っているため、株式の売買を行う際には、証券会社所定の手数料(売買委託手数料)を支払う必要があります。ただし、近年では国内株式の売買手数料を無料としている証券会社もあります。
日本には、主に次の4つの証券取引所があります。
- 東京証券取引所(東証)
- 名古屋証券取引所(名証)
- 福岡証券取引所(福証)
- 札幌証券取引所(札証)
東京証券取引所では、上場企業の規模やガバナンス水準、成長性などに応じて、次の3つの市場区分が設けられています。
- プライム市場:高い流動性やガバナンス水準が求められる市場
- スタンダード市場:一定の事業規模と実績を有する企業向けの市場
- グロース市場:高い成長可能性を持つ新興企業向けの市場
また、名古屋証券取引所には、次の3つの市場区分があります。
- プレミア市場
- メイン市場
- ネクスト市場
このほか、福岡証券取引所には「本則市場」と「Q-Board」、札幌証券取引所には「本則市場」と「アンビシャス」が設けられており、それぞれ地域経済を支える企業や成長企業の資金調達の場として機能しています。
株式の売買単位について
株式の売買単位は「単元株」と呼ばれます。証券取引所で株式を売買する際には、原則として各銘柄に定められた単元株の整数倍で注文を行います。
日本の上場内国株式では、2018(平成30)年10月1日から、1単元の株数が100株に統一されています。そのため、株価が1株2,000円の銘柄を購入する場合、通常は100株単位で取引するため、購入金額は20万円(2,000円 × 100株)となります。
なお、証券会社によっては、1株単位などで売買できる単元未満株取引を取り扱っている場合もあります。
株式の注文方法について
証券取引所に上場している株式の主な注文方法には、次の2種類があります。
- 指値注文:売買する価格を指定して注文する方法
- 成行注文:価格を指定せず、その時点で取引可能な価格で売買する方法
一般に、指値注文は希望する価格で取引できる可能性がある一方、売買が成立しない場合があります。これに対し、成行注文は売買が成立しやすい反面、想定より不利な価格で約定することがあります。
株式売買の成立原則
証券取引所では、公平かつ円滑に売買を成立させるため、次の3つの原則が適用されています。
- 成行注文優先の原則
成行注文と指値注文がある場合には、価格を指定していない成行注文が優先されます。 - 価格優先の原則
同じ種類の注文では、価格面で有利な注文が優先されます。 - 買い注文では、より高い価格の注文が優先される。
- 売り注文では、より低い価格の注文が優先される。
- 時間優先の原則
同じ価格の注文が複数ある場合には、先に出された注文が優先されます。
株式の値幅制限について
日本の証券取引所では、株価の急激な変動による市場の混乱を防ぎ、投資家を保護するために、1日の株価の変動幅に制限を設けています。これを値幅制限といいます。
値幅制限は、前営業日の終値などを基準とした基準値段に対して、価格帯ごとに定められた制限値幅を加減することで設定されます。そのため、1日の取引において株価は、この範囲を超えて変動することはできません。
株価が値幅制限の上限まで上昇した状態をストップ高、下限まで下落した状態をストップ安といいます。
ストップ高やストップ安になると、その価格で売買注文が集中することがあり、売り手や買い手が不足した場合には売買が成立しないことがあります。
値幅制限は、投資家の過度な投機行動を抑制するとともに、市場参加者が冷静に投資判断を行うための時間を確保する役割を果たしています。
株式の決済(受け渡し)について
株式の売買が成立すると、売買代金の支払いと株式の引渡しを行う決済(受け渡し)が行われます。
株式の取引には、主に次の3つの決済方法があります。
- 普通取引
- 当日決済取引
- 発行日決済取引
このうち、最も一般的に利用されているのが普通取引です。普通取引では、売買が成立した日を約定日といい、株式と売買代金の受け渡しは、原則として約定日の2営業日後(T+2)に行われます。
例えば、月曜日に株式を購入した場合、通常は水曜日に受け渡しが行われます。ただし、途中に祝日などの休業日がある場合は、その日数を除いて計算します。
また、国内の証券取引所に上場している外国株式を国内委託取引により売買した場合についても、原則として国内株式と同様に約定日の2営業日後に決済が行われます。
このような決済の仕組みにより、買い手には株式が引き渡され、売り手には売買代金が支払われることで、取引が正式に完了します。
信用取引について
信用取引とは、投資家が証券会社に一定の委託保証金を預け、その保証金を担保として、証券会社から買付資金や株式を借りて行う取引のことです。
信用取引では、預けた保証金以上の金額の取引を行うことができるため、少ない資金で大きな取引が可能となります。これをレバレッジ効果といいます。一方で、投資成果が拡大する反面、損失も大きくなる可能性があるため注意が必要です。
また、信用取引では、株価の上昇を期待して買いから取引を始める信用買いだけでなく、株価の下落を期待して売りから取引を始める信用売りも行うことができます。
決済方法と返済期限
信用取引では、建てた取引を所定の期限内に決済しなければなりません。決済方法には、次の2種類があります。
- 差金決済(反対売買)
信用買いした株式を売却する、または信用売りした株式を買い戻すことにより、売買差額を受け払いして決済する方法です。 - 現物決済
- 現引き
信用買いした株式について、買付代金を支払って現物株式を受け取る方法です。 - 現渡し
信用売りした株式について、保有している現物株式を引き渡して決済する方法です。
委託保証金とリスク
信用取引を行うためには、証券会社に委託保証金を差し入れる必要があります。
制度信用取引では、委託保証金率は原則として30%以上であり、預けた保証金の約3.3倍までの取引を行うことができます。委託保証金は、現金のほか、一定の条件を満たす株式や投資信託などの有価証券によって代用することも可能です。
ただし、株価が予想と反対方向に変動すると損失が拡大するおそれがあります。また、委託保証金維持率が証券会社の定める基準を下回った場合には、追加で保証金を差し入れる必要があります。これを追加保証金(追証)といいます。
制度信用取引と一般信用取引
信用取引には、制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。
- 制度信用取引
制度信用取引は、取引所が定めたルールに基づいて行われる信用取引です。対象銘柄や返済期限などがあらかじめ定められています。 - 一般信用取引
一般信用取引は、証券会社が独自に提供する信用取引です。対象銘柄や返済期限などは証券会社ごとに異なります。
| 項目 |
制度信用取引 |
一般信用取引 |
| 対象銘柄 |
取引所が選定した制度信用銘柄 |
証券会社が選定した銘柄 |
| 返済期限 |
最長6か月 |
証券会社が定める(無期限の場合もある) |
| 金利・貸株料等 |
取引所の制度に基づく |
証券会社ごとに異なる |
| その他の条件 |
取引所が定めるルールに従う |
証券会社と顧客との契約による |
信用取引は、少ない資金で大きな取引ができる反面、損失が大きくなる可能性があります。そのため、レバレッジ効果とリスクの両方を十分に理解したうえで利用することが重要です。
株式ミニ投資(ミニ株・単元未満株)について
株式ミニ投資(ミニ株・単元未満株)とは、通常の株式取引よりも少ない資金で株式を購入できる取引方法です。
通常、上場株式は1単元(100株)単位で取引されますが、株式ミニ投資では、単元株の10分の1に当たる株数(単元株が100株の場合は10株)で取引を行うことができます。そのため、通常の株式投資に比べて少額の資金から投資を始めることが可能です。
ただし、株式ミニ投資は通常の株式取引とは取引方法が異なります。一般的には、指値注文ができず、投資家から集められた注文をまとめて執行するため、売買注文を出した日の翌営業日以降の始値や売買高加重平均価格(VWAP)などが約定価格として適用されます。なお、取引方法は証券会社によって異なる場合があります。
また、単元未満株として購入した株式については、株主名簿上の名義人が証券会社となる場合があります。この場合、株主総会における議決権を行使することはできません。
一方で、配当金や株式分割による権利などについては、保有株数に応じて受け取ることができるのが一般的です。ただし、株主優待については、企業や証券会社の取扱方法によって権利を取得できない場合もあります。
株式ミニ投資は、少額から分散投資を始めたい投資家や、値がさ株への投資を検討している投資家にとって利用しやすい制度ですが、通常の株式取引に比べて注文方法や株主としての権利に制限がある点に注意が必要です。
株式累積投資(るいとう)について
株式累積投資(るいとう)とは、あらかじめ指定した銘柄について、毎月一定額ずつ継続的に購入する投資方法です。少額から始めることができるため、投資初心者でも利用しやすい仕組みとなっています。
株式累積投資では、投資家が購入金額を指定し、証券会社がその金額に応じて株式を買い付けます。そのため、通常の株式取引のように指値注文を行うことはできません。購入価格は、証券会社が定める方法に従い、売買注文を取りまとめた後の始値や売買高加重平均価格(VWAP)などによって決定されます。
株式累積投資では、定期的に一定額を投資するため、株価が高いときには少ない株数を、株価が安いときには多くの株数を購入することになります。その結果、購入価格が平準化され、平均取得単価を抑える効果が期待できます。このような投資手法をドル・コスト平均法といいます。
また、株式累積投資で取得した株式は、通常、証券会社の株式累積投資口座で管理されます。そのため、株主名簿上の名義人は証券会社となり、原則として議決権を行使することはできません。
一方で、配当金については、保有株数に応じて受け取ることができます。ただし、株主優待やその他の株主権については、取扱方法が証券会社によって異なる場合があります。
株式累積投資は、定期的に無理のない金額で投資を続けることができるため、長期的な資産形成を目指す投資家に適した投資方法といえます。
株式に係る税金について
株式投資で得られる利益には、主に譲渡益(売買益)と配当金があります。これらの利益には、それぞれ税金が課されます。以下では、上場株式等に係る主な税制について説明します。
上場株式等の譲渡益に係る税金
上場株式等を売却して得た利益(譲渡益)は、譲渡所得として課税され、申告分離課税の対象となります。
譲渡益が発生した場合には、原則として次の税率で課税されます。
- 所得税(15.0%)
- 住民税(5.0%)
- 復興特別所得税(0.315%)
合計:20.315%
また、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、証券会社が税金を源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。
上場株式等の譲渡損失は、次の所得と損益通算することができます。
また、損益通算を行ってもなお控除しきれない譲渡損失については、確定申告を行うことにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができます。
繰越控除を受けるためには、損失が発生した年から繰越期間中、毎年継続して確定申告を行う必要があります。
上場株式等の配当金に係る税金
上場株式等の配当金は、配当所得として課税されます。
上場株式等の配当金については、次の課税方法を選択することができます。
- 申告不要制度
上場株式等の配当金を受け取る際には、原則として次の税率で源泉徴収が行われます。
・所得税(15.0%)
・住民税(5.0%)
・復興特別所得税(0.315%)
合計:20.315%
この場合、確定申告を行わずに課税関係を終了させることができます。 - 総合課税
配当所得を総合課税として確定申告を行う方法です。
総合課税を選択した場合、配当金は給与所得などの他の所得と合算して課税されます。そのため、適用される税率はその人の所得水準によって異なります。
また、一定の要件を満たす場合には、税額控除である配当控除を受けることができます。 - 申告分離課税
配当所得について申告分離課税を選択し、確定申告を行う方法です。
この場合、税率は譲渡益と同様に20.315%となり、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能となります。
ただし、配当控除の適用は受けられません。
| 項目 |
申告不要制度 |
総合課税 |
申告分離課税 |
| 確定申告 |
不要 |
必要 | 必要 |
| 税率 |
20.315% |
総合課税の税率 |
20.315% |
| 配当控除 |
不可 |
可 |
不可 |
| 譲渡損失との損益通算 |
不可 |
不可 |
可 |
配当金に係る課税方法は、所得水準や譲渡損失の有無によって有利・不利が異なるため、自身の状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。