金融商品取引法
最終更新日: 2026-07-15

金融商品取引法について

 
金融商品取引法は、企業の情報開示制度を整備するとともに、金融商品取引業を営む者に対して必要な規制を設けることにより、金融商品取引所の適切な運営を確保し、有価証券の発行および金融商品の取引を公正かつ円滑に行うことを目的とした法律です。
また、この法律は、資本市場の機能を十分に発揮させることで金融商品の公正な価格形成を促し、投資者の保護および国民経済の健全な発展に資することを目的としています。
 

金融商品取引業の区分

 
金融商品取引法では、金融商品取引業を次の4つに分類しています。

  • 第一種金融商品取引業
    有価証券の売買やその媒介・取次ぎ・代理、店頭デリバティブ取引、有価証券の引受け、私設取引システム(PTS)の運営、有価証券等の管理業務などが含まれます。主に証券会社がこの業務を行っています。
  • 第二種金融商品取引業
    信託受益権や集団投資スキーム持分などの「みなし有価証券」の売買や募集・私募の取扱いなどが含まれます。主にファンド事業者などがこの業務を行っています。
  • 投資助言・代理業
    投資顧問契約に基づく投資助言や、投資顧問契約および投資一任契約の締結に関する代理・媒介業務を行う事業をいいます。主に投資顧問会社がこの業務を行っています。
  • 投資運用業
    投資一任契約に基づく運用や投資信託の運用、集団投資スキーム財産の運用などを行う事業をいいます。主に投資信託委託会社や投資運用会社がこの業務を行っています。

 

特定投資家制度

 
金融商品取引業者の顧客は、「特定投資家(プロ)」と「一般投資家(アマ)」に区分され、それぞれに異なる規制が適用されます。
特定投資家には、一定の知識や経験、財産的基礎を有すると認められる法人や機関投資家などが含まれます。一方、一般投資家は、金融商品に関する知識や経験が十分でないことを前提として、より厚い保護を受けることができます。
このような区分を設けることで、投資者の知識・経験・財産の状況に応じた適切な投資者保護が図られています。


金融商品取引業者について

 
金融商品取引業を営むためには、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。登録を受けていない者は、原則として金融商品取引業を営むことができません。
また、金融商品取引業者には、業務の種類に応じて財産的基礎や人的構成などの登録要件が定められており、投資者保護の観点から適切な監督を受けることとなっています。
 

営業保証金について

 
次の金融商品取引業者は、営業保証金を供託しなければなりません。

  • 第二種金融商品取引業を営む個人
  • 投資助言・代理業のみを営む金融商品取引業者

 
営業保証金は、主たる営業所または事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません。供託額は500万円です。
また、営業保証金は金銭のほか、次のような有価証券によって供託することもできます。

  • 国債証券
  • 地方債証券
  • その他、内閣府令で定める有価証券

 
営業保証金制度は、金融商品取引業者が顧客に損害を与えた場合などに備え、投資者保護を図ることを目的としています。


金融商品取引業者等が遵守すべき行為規定について

 
金融商品取引法では、投資者保護および市場の公正性を確保するため、金融商品取引業者等が有価証券やデリバティブ取引の販売・勧誘等を行う際に遵守すべき行為規制を定めています。
 

基本的義務

 

  • 顧客に対する誠実義務
    金融商品取引業者等およびその役員・使用人は、顧客に対して誠実かつ公正に業務を遂行しなければなりません。
  • 標識の掲示義務
    金融商品取引業者等は、営業所または事務所ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲示しなければなりません。
  • 名義貸しの禁止
    金融商品取引業者等は、自己の名義をもって他人に金融商品取引業を営ませてはなりません。

 

広告・表示に関する規制

 

  • 表示義務
    金融商品取引業者等が広告等を行う場合には、次の事項を表示しなければなりません。
    • 商号、名称または氏名
    • 金融商品登録業者等である旨および登録番号
    • 顧客の判断に重要な影響を及ぼす事項(政令で定める事項)
  • 誤認表示の禁止
    利益の見込みや取引の内容について、著しく事実に相違する表示または顧客に誤認を与える表示を行ってはなりません。

 

契約に関する書面交付義務

 

  • 契約締結前
    金融商品取引契約を締結しようとする場合には、原則としてあらかじめ契約締結前交付書面を交付しなければなりません(上場有価証券等については一定の場合に交付義務が免除されます)。
    契約締結前交付書面には、主に次の事項を記載します。
    • 商号、名称または氏名
    • 住所
    • 登録番号
    • 契約の概要
    • 手数料、報酬その他の対価
    • 損失が生じるおそれがある場合は、その内容
    • その他、顧客の判断に重要な影響を及ぼす事項
  • 契約締結時
    金融商品取引契約が成立したときは、原則として遅滞なく契約締結時交付書面を交付しなければなりません。
  • 保証金受領時
    保証金その他これに類する金銭を受領した場合は、直ちにその内容を記載した書面を交付しなければなりません。

 

勧誘・取引に関する規制

 

  • 取引様態の事前明示義務
    有価証券の売買等の注文を受ける場合には、自己が取引の相手方となるか、または媒介・取次ぎ・代理のいずれに該当するのかを、あらかじめ顧客に明示しなければなりません。
  • 不招請勧誘に関する規制
    店頭デリバティブ取引等については、顧客から要請のない訪問や電話による勧誘が禁止されています。
  • 勧誘意思の確認義務
    顧客に勧誘を受ける意思がないことを確認したにもかかわらず、勧誘を継続してはなりません。

 

禁止行為

 
金融商品取引業者等は、次のような行為を行ってはなりません。

  • 虚偽のことを告げる行為
  • 将来の利益について断定的な判断を提供する行為
  • 無登録格付業者の信用格付けについて誤解を与える行為
  • 顧客が勧誘を希望しない旨を示した後も勧誘を継続する行為
  • 特定金融指標を不正に変動させる行為
  • 法令に違反する高速取引行為
  • その他、投資者保護または取引の公正を害する行為として内閣府令で定める行為

 

投資助言業務に関する禁止行為

 
投資助言・代理業者は、次のような行為を行ってはなりません。

  • 他の顧客の利益のために特定の顧客の利益を害する助言
  • 合理的な根拠のない助言
  • 不公正な条件による取引を勧め、顧客に不利益を与える
  • 顧客の取引情報を利用した自己取引
  • 損失補填や利益追加を目的とした利益提供
  • その他、投資者保護または取引の公正を害する行為として内閣府令で定める行為

 

投資運用業務に関する禁止行為

 
投資運用業者は、次のような行為を行ってはなりません。

  • 自己または役員等との利益相反取引
  • 運用財産相互間の不適切な取引
  • 合理的な根拠のない取引
  • 不公正な条件による運用
  • 運用情報を利用した自己取引
  • 損失補填や利益追加を目的とした利益提供
  • その他、投資者保護または取引の公正を害する行為として内閣府令で定める行為

 

損失補填等の禁止

 
金融商品取引業者等は、顧客に対して次のような行為を行ってはなりません。

  • 損失補填を行う旨の申込みまたは約束
  • 実際に損失補填や利益追加を行うこと

 

適合性の原則

 
金融商品取引業者等は、顧客の知識、経験、財産の状況および金融商品取引契約を締結する目的に照らして、顧客に不適当と認められる勧誘を行ってはなりません。
また、次の事項にも適切に対応する必要があります。

  • 顧客情報の適正な管理
  • 適切な業務運営体制の整備
  • 公益に反しない業務運営