金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律
最終更新日: 2025-10-19

金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律とは

 
金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(略称:金融サービス提供法)は、金融商品販売業者等が金融商品の販売に際して顧客に対して説明すべき事項や、販売に関するその他の重要事項を定めるとともに、金融サービス仲介業者に対する登録制度を導入し、その業務の健全かつ適切な運営を確保することを目的としています。
さらに、国民の安定的な資産形成および適切な資産管理を促進するための基本的事項を定めることにより、金融サービスの利用者保護と利用環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とした法律です。


金融商品の販売

 
金融商品の販売とは、以下のような行為を指します。

  • 預金等の受入れを内容とする契約の預金者、貯金者、定期積金の積金者または掛金の掛金者との締結
  • 無尽に係る契約に基づく掛金の受入れを内容とする契約の無尽掛金の掛金者との締結
  • 信託財産の運用方法が特定されていない金銭の信託に係る信託契約の委託者との締結
  • 保険契約または共済契約で保険契約者またはこれに類する者との締結
  • 有価証券を取得させる行為
  • 以下の金融商品を取得させる行為
     金融商品取引法に掲げる権利
     譲渡性預金証書によって表示される金銭債権
     資金決済に関する法律に規定される暗号資産
  • 不動産特定共同事業契約の締結
  • 市場デリバティブ取引または外国市場デリバティブ取引の実施、またはその取次ぎ
  • 店頭デリバティブ取引の実施、またはその取次ぎ
  • 金利、通貨の価格、その他の指標の数値に基づき、将来の一定時点における現実の数値との差により算出される金銭の授受を約する取引、またはその取次ぎ

 
ただし、以下の取引は金融商品の販売には該当しません。

  • 金地金の販売
  • ゴルフ会員権の販売
  • レジャー会員権の販売
  • 国内商品先物取引に関する販売

金融商品販売業者等の説明義務について

重要事項の説明

 
金融商品販売業者等は、金融商品の販売等を業として行う際、販売が成立するまでの間に、顧客に対して以下の重要事項について説明する義務があります。

  • 市場の変動による元本欠損の可能性がある場合
     元本欠損が生じる可能性がある旨
     影響を与える指標(例:金利、通貨の価格、金融市場の相場など)
     その指標の変動が元本欠損を引き起こす仕組みの重要な部分
  • 市場の変動による元本超過損失の可能性がある場合
     元本を超える損失が生じる可能性がある旨
     影響を与える指標(例:金利、通貨の価格、金融市場の相場など)
     その指標の変動が元本超過損失を引き起こす仕組みの重要な部分
  • 業務や財産状況の変化による元本欠損の可能性がある場合
     元本欠損が生じる可能性がある旨
     影響を与える者(販売者またはその他の関係者)
     その者の業務や財産状況の変化が元本欠損を引き起こす仕組みの重要な部分
  • 業務や財産状況の変化による元本超過損失の可能性がある場合
     元本を超える損失が生じる可能性ある旨
     影響を与える者(販売者またはその他の関係者)
     その者の業務や財産状況の変化が元本超過損失を引き起こす仕組みの重要な部分
  • 政令で定める事由による元本欠損の可能性がある場合
     元本欠損が生じる可能性がある旨
     当該事由
     その事由が元本欠損を引き起こす仕組みの重要な部分
  • 政令で定める事由による元本超過損失の可能性がある場合
     元本を超える損失が生じる可能性がある旨
     当該事由
     その事由が元本超過損失を引き起こす仕組みの重要な部分
  • 権利行使期間や契約解除期間に制限がある場合は、その制限の内容

 
これらの重要事項の説明は、顧客の知識経験財産の状況および金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らして、顧客に理解されるために必要な方法と程度で行わなければなりません。

断定的判断の提供等の禁止

 
金融商品販売業者等は、金融商品の販売等を業として行う際、販売が成立するまでの間において、顧客に対して以下のような行為を行ってはなりません。

  • 金融商品の販売に関する事項について、不確実な内容に対して断定的な判断を提供すること
  • 顧客に対し、不確実な事項を確実であると誤認させるおそれのある説明を行うこと

これらの行為は、顧客の誤解を招き、適切な判断を妨げる可能性があるため、法律により禁止されています。

損害賠償責任

 
金融商品販売業者等は、以下のいずれかに該当する場合、顧客に生じた損害について賠償する責任を負います。

  • 顧客に対して説明すべき重要事項の説明を怠った場合
  • 顧客に対して断定的判断の提供等の禁止行為を行った場合

これらの行為により顧客に損害が生じたとき、金融商品販売業者等はその損害を賠償しなければなりません。
また、顧客が損害賠償を請求する際には、元本の欠損額は、金融商品販売業者等の説明義務違反または断定的判断の提供等によって生じた損害の額であると推定されます。

金融商品の販売等に係る勧誘

 
金融商品販売業者等は、業として金融商品の販売等に係る勧誘を行う際には、その適正を確保するよう努めなければなりません。
また、勧誘を行うにあたっては、事前に勧誘方針として、以下の事項を定める必要があります。

  • 勧誘の対象となる者の知識経験財産の状況、および契約締結の目的に照らして、配慮すべき事項
  • 勧誘の対象となる者に対して、勧誘の方法時間帯に関して配慮すべき事項
  • 勧誘活動が適正に行われるようにするための基本的な方針

さらに、勧誘方針を定めた場合や変更した場合には、速やかにその内容を公表しなければなりません。


金融サービス仲介業

 
金融サービス仲介業とは、以下のいずれかの業務を業として行うことをいいます。

  • 預金等媒介業務
  • 保険媒介業務
  • 有価証券等仲介業務
  • 貸金業貸付媒介業務

ただし、それぞれの業務において、顧客に対して高度に専門的な説明を要するものは対象外とされています。
この業務を行うには、内閣総理大臣の登録を受けることが必要です。登録を受けていない者は、金融サービス仲介業を営むことはできません。

保証金

 
金融サービス仲介業者は、業務を開始するにあたり、保証金を主たる営業所または事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません。保証金の額は、事業開始の日から最初の事業年度の終了後3か月を経過する日までの間は1,000万円とされており、それ以降の各事業年度(最初の事業年度を除く)においては、事業年度の開始日から3か月を経過した日から当該年度の終了後3か月を経過する日までの間、1,000万円に加えて、前事業年度における年間受領手数料の5%を加算した金額が必要となります。
なお、保証金として供託する資産は金銭に限らず、国債証券や地方債証券、その他内閣府令で定められた有価証券を充てることも認められています